Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

「頭の上はよせやい、与八さんだって、頭が痛いだろう」

「いいねえ、与八さん、いいだろう、お前の頭の上へ石を積んだって、かまやしないね、一重組んでは父のため、二重組んでは母のため……なんだから」

与八は、だまってすわったまま、相変らずほほえんでいるばかりであります。

「三重組んでは……あ、いけねえ」

頭の上は、膝の上よりも、肩の上よりも、いっそう、石の安定がむずかしいと見えて、せっかく積んだ石が崩れる。

崩れた石が、下に積み上げた膝の上をまた崩す。子供たちはそれをまた下から積み直す。

見ているところ、入りかわり立ちかわり、石を高く積んだものほど手柄に見える。

人の積んだ石の上へ、自分の石を積みそこねたものは、自分のあやまちのみならず、人の積んだ石を崩すの罰まで、二重に受けねばならぬことになっているらしい。

そこで子供らは、いよいよ高く石を積んで、いよいよその手柄を現わそうとするが、積み得て喜ぶ後ろに、崩れて悲しむの時が待っている。

積んでは崩し、崩しては積んで興がる子供たちは、与八の存在ということを忘れてしまっている。然れども、この男にあっては、遊ぶことと、遊ばせることとが同一で、子供らがわれを道具にして遊ぶ間は、その楽しみを妨げないことが、また自分の遊びであるらしく思われるのであります。