Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
その人影の、こっちに向いて走って来るのを認めたのも、いくらも経たない後のことでありましたが、不幸にして、その人影は、どう見直しても、自分の尋ね求める少年の姿ではありません。
だが、自分の走って行くと反対に、向うはこっちを向いて一生懸命に走って来るのが、ちょうど、鏡面に向って相うつしているようなもので、かくしてようやく相近づいた時は、その一方も女であることを知りました。
女は女だが、自分とはまるきり違った体格と風俗の女で、それはこの辺によく見るところの海女の一人であることに疑いもない。
裸で走って来るらしいことを認め得た時に、そう感づきました。
海岸を海女が走って来る分には、別に怪しいこともないが、いよいよ近づくにつれて、その狼狽の態度が尋常ではない。何かに怖れて、あわてふためいて、走って来るのではない、逃げて来るのだとさとらないわけにはゆきません。
いよいよ、その証拠には、この海女は一糸もつけない素裸で、その着物類をさんざんに取りまとめて、小脇にかいこんで、眉をつり上げ、息をせき切って、せいせい言いながら、はたと自分に突き当りそうになって、はじめて気のついた海女を、兵部の娘がすれちがって見ると、海女が息づかいもせわしく、