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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

刺鮫というのは相当に大きな奴で、夜、海の中を行くと、白い光が潮に透って見える、こいつは舟をくつがえしたり、人を食ったりする怖るべき奴で、舟乗りはこいつにでっくわすと鰹を投げてやって逃げるのだが、この刺鮫も頭に角のあるというのを聞かない――一角魚の角は角というよりは嘴だ。竜駒、海蛇、有るには有るが問題にならぬ」

駒井甚三郎は、漁師らのいわゆる「海竜」なるものを、まじめに、つまり科学的に考証してみようと苦心しているが、田山白雲はさのみは追究せずに、

「疑心暗鬼でしょう、幽霊の正体見たりなんとかで、つまり、何か彼等が見あやまって、それを一途に恐怖の偶像にしてしまったんですね――追究してみれば、存外くだらないことなんだろう」

「しかし……」

と駒井は、相変らずまじめに考えているのは、よしそのことが暗鬼であるにしても、偶像であるにしても、その暗鬼を映し出した偶像を、浮び上らせた本体というものに、その出来事とは全く離れた水産上の想像を打ちすてておくわけにゆかなかったからです。何となれば、いかに疑心といえども、狼狽といえども、鰯を鯨と見るはずはないからであります。

海竜として、かれらが怖るべきものを見たとすれば、よし全然間違いであったとしても、多少形体において、それに似通った存在物を見たものとしなければならぬ。