Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

「さあ、わしの生れはどこでござんすかね」

「おや、お前さん、自分の生れどころを知らねえ……?」

七兵衛がまた気色ばみました。

「生れはどこだか知らねえが、赤ん坊の時からこの沢井村で育ちました」

「それじゃあ、こっちへ貰われて来たのか、それとも……」

「いや、貰われて来たんじゃねえ、拾われて来たんでございます」

「拾われて……そうするというとお前さんは棄児かい」

「ああ、棄児なんでございます」

「おやおや、どこへすてられて、誰に拾われなすったい」

七兵衛はのっ込んでしまいました。

「ねえ、おじさん」

途方もない人のいい面をした与八は、多少その面の色を曇らせながら次の如く言いました。

つまり、自分は棄児である。青梅街道のあるところへ、生れていくらも経たない時分に捨てられて、それを机の大先生に拾われて、その御恩で今日に至ったということを、与八は飾るところなく七兵衛に話すと、七兵衛の眼がかがやいてきました。

「なるほど、なるほど」

幾度か、深いうなずきの後に、吸い取るような眼つきをして与八をうちながめ、

「なるほど……年は十九とお言いなすったな」

七兵衛は、指を折って数えてみるふりをしました。