Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「何しろ大公儀にしても、われわれにしても、暮し向きは財政が元でございますからなあ、そこで天保の改革の時に水野越前守殿が……何といっても、あのくらいの豪傑でございますから、早くもこの木曾の森林に眼をつけてしまいました」
「なるほど」
「尤も、それとても越前守殿が眼をつけたというわけではごわせんが、しかるべく建議をしたものがあるんでございましてな」
「何といってね」
「尾州領のあの木曾山を三年間、幕府へお借上げになりますならば、当時幕府の財政も充分に整理ができる見込みだと、こうそれ、越前守殿に吹込んだものがあるんでございますな」
「よけいなことを吹込みやがったね」
「尾州家にとってはよけいなことですが、幕府の財政整理のためには、無類の妙案なんでございましょう、越前守殿ほどの鋭敏な政治家が、それをなるほどと思召さないわけにはゆきません」
「なるほどと思ったってお前、親藩とはいえ、他領ではないか、どうなるものか」
「しかし、時勢が時勢でございますからなあ。それに、執権がボンクラ大名と違って、名にし負う水野越州でございますから、直ちにそれを採用して断行することになり、尾州家を呼び出し、将軍の御前において、水野越前守殿自ら、この趣を尾州家に申し入れようとの段取りとなりました」