Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
幸い、額をあつめて、絵図面の研究にわれを忘れているのがいい機会だ。
そこで七兵衛は、彼等のうしろへ手を延ばして行って、まず、かぎ縄をそっと奪い取り、次にめいめいの革袋を、そっと引きずって来て、動静いかにとながめている。
絵図面の上に一応の思案を凝らした一行は、いざとばかりに、ろうそくの火をふき消して立ち上ったのは、いよいよ早まり過ぎたことで、四方を暗くして後に、かぎ縄がない、燧袋がない、あああの中に大切の摺付木を入れて置いたのだが――とあわて出したのは後の祭りであります。暗中で彼等はしきりに地上を撫で廻してダンマリの形をつづけたが、結局、ないものはない。
さすがの大胆者どもも、顔の色をかえたことは、その語調の変ったことでわかっている。そのささやき具合の狼狽さ加減でわかっている。かぎ縄は、まんいち途中で落したかの懸念もないではないが、摺付木に至っては、現在このところで、ろうそくに火をつけ、あまつさえ、その火を煙草にうつしてのんだではないか――申しわけにも、途中で落したとはいえない。ろうそくは空しく手に残るが、それに点ずべき手段がない。
「何たるブザマなことだい、これじゃあ、一足も動けない」