Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
浅ましい世の中だ。お上に対する人間の尊敬心というものが、地を払ってしまったのは、お上に威厳がないのか、人間がつけ上ってしまったのか。さてこの上の世の中が、どうなるだろう。七兵衛も今はそれを考えて、空恐ろしくなったもののようです。
その持って生れたような盗癖を別にしては、七兵衛は、むしろ律義な男です。
昨晩、江戸城内を抜け出して来た七兵衛の頭では、公方様は決して悪むべきお方ではなく、むしろかわいそうなお方である。その悪むべからざる公方様を目のかたきにして、これを陥れようとたくらむ奴等の気が知れない。
よく人の話では、薩摩に西郷という男があって、それが手下の者をけしかけ、この四国町の薩摩屋敷に、ならず者を集めて乱暴をさせ、そうして公方様を怒らせて、日本を乱そうとするたくらみだと――その西郷という男は、公方様に何の恨みがあって、そういうことをするのだろう。天下というものを取るには、そういうことをしなけりゃならねえのか。
そういうことをして、かりに天下というものを取ってみたところで、それがどうなる、それにはそれだけのたたりというものがあるぜ――西郷という男も、末始終はいい死にようはしねえだろう……といったようなことを、七兵衛が考え出しました。