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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

「わたし、そんなことを書きましたか知ら?」

「は、は、あなたは、ツガザクラという植物を知らないのでしょう」

「ええ」

「あれは高さ四五寸の、灌木というものだ、四五寸の植物の下を人間が通れますか、生物知を書くと笑われますよ」

と言って山の通人が、ある晩のこと、炉辺に人が集まった時を見越して、わざとお雪ちゃんに向って、こんなことをいいましたから、お雪は真赤になって、

「そうでしたか知ら?」

自分は、そんなことを書いた覚えはないのに、この通人は、わざと人前で、聞えよがしに言うのは、ツマリ自分の知識のほどを、人に見せつけたいという根性が、ありありと見え透きましたから、一座の人も、何となく不愉快に感じましたが、お雪は強いてそれを争おうともしませんでした。

山の通人は、いよいよソリ身になって、

「そんなに恥かしがることはありませんよ、この間も、馬琴の小説の常夏草紙というのに、多摩川の岸に、大和なでしこが咲き乱れていると書いてあったから、わしがウンと笑ってやりました」

通人というのは、お召を着てオホンと取澄ますばかりが通人ではない。自分の持っている知識を鼻にかけて、人を見おろしたがるのは、山の通人にもあるのか知ら、と一座の者が思いました。