Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
、はじめて人の気配に打たれました。
誰もいないと信じきっている湯ぶねに人がいた――でもよかった、このまま走り込まないで。そこで一枚になった浴衣をたくし上げて、見るともなしの隙見で、羽目の隙間から中を見ると、兵馬の姿を明らかに認めることができました。
この時は、兵馬を兵馬として明らかに認めたのだから、驚きました。
到着の最初から、今まで、言葉も交わしたし、形も見ていたし、看病の親切までしてやっているはずなのに、おたがいにまだそれと気がつかずにいたのを、ここではじめて、お雪の方から兵馬というものを、兵馬としての全体を、不意に受取ったのだから、驚くのも無理はありません。
ある日の夕方、疲れ果てて、自分の月見寺の井戸のそばへ来て、一杯の水を求めた可憐な旅の人が、その人でした。
そうして、同情のあまりにその夜さを寺に泊めたために、計らず自分たちが危難を救われる縁となったのは、その人ではないか。
何かを求めて、旅にさすらいの人とは言いながら、ここであの人に――お雪は飛び立つほどに、その奇遇をなつかしく思いましたけれど、兵馬の方ではいっこう気がつかないで、まだ隙見の人は隙見をやめないなと、軽く気に留めているばかりです。