Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「ああして、これを恐れないのは、人を信じているからでしょう、あぶないものですね」
少し進んで行くと、偃松の間から、のそのそと一羽の鳥が出て来る。
「ごらんなさい、雷鳥が出て来ましたよ、あの鳥もまた人を怖れません」
やがて頂上に近くなったのでしょう、残雪のまばらな、焼野原のようなところに出て来ました。
東道気取りに先に立ったお雪が、あたりを見廻して、
君と行く白馬ヶ岳の焼野原
と歌い出しました。興に乗じて歌を詠むつもりでしたろう。それが、どう間違ってか、白馬ヶ岳の焼野原と言ってしまったので、グッとあとが詰まったようです。
「白馬ヶ岳をうたうのに、焼野原では付きませんね」
お雪は、焼野原に替うるにお花畑を以てしようか、雲の海を以てしようか、偃松を以てしようか、雪渓を以てしようか、その苦吟をはじめたらしい。
その時に、雲が濛々と湧いて来たものですから、ほとんど十歩ばかり先に進んでいたお雪の姿が見えません。
お花畑も、焼野原も、一様に、この濛々たる白雲につつまれてしまいました。
ほどなく雲霧の晴れた時、自分の立っているところ――多分それが、白馬ヶ岳の頂上なのでしょうと思います。