Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「お不在ですか」
それでも返事がありませんけれど、思いきってその障子をあけて見ましたが、たぶん、いま帰ったはずの娘もいなければ、同行の久助の姿も見えません。
その翌朝、宇津木兵馬は、帰るとも、とどまるとも決心がつかずにいると、どうも様子が変だから、尋ねてみると、仏頂寺と、丸山は、今早朝に結束いかめしく出立してしまったということです。
おお、そうしてみれば、こちらが結句、出し抜かれて幸いというものだ。
ちょうど、やり過ごした意味になるから、少し時を置いて自分も出立しよう――彼等は、どちらを向いて行ったか知れないが、多分、松本方面だろう。すれば自分は飛騨の平湯をめざして行こうかな。そうでもした方がよい。
座敷に帰って、なにくれと出立の用意をしてみたが、こうなると、そうだ早く帰るがいい、帰るがいい、というようなささやきと、とてものことに、もう少しいてはどうだ、もう一応駄目を押してみてはどうだ、というような勧告が、どこからともなく聞えるようにも思う。そのいずれも無意味だが、帰るべきものとすれば一刻も早い方がよい。
出立にさきだって、一度挨拶だけをして行きたいと心がけたあの娘は、今日は姿さえ見せぬ。