Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「可愛らしい文箱ですね」
「お使者が可愛らしいから、文箱もそれに準じてね」
「ですけれども、これでは字を認めるところが、あんまり狭いではありませんか」
「その辺が精一杯ですよ、それより広くした日には、使者に持ちきれません」
「これでは、三十六文字ぐらいしか書けませんのね」
「眼鏡をかけて書けば、百字は書けますよ」
「でも、せっかくのたよりに百字ぐらいでは、何にも、言いたいことが言えないじゃありませんか」
「それはお雪ちゃんのような、文章家には、ずいぶん不足でもありましょうが、きんきゅうの用事ですと、百字書ければ大抵の要領は書けますからね」
「ねえ、北原さん」
お雪は何と思ったか、腰を落着けるようにして、籠の中の鳩を見ながら賢次の方にすりよって――
「北原さん、今わたしも思いついてよ、この鳩と、その文箱を、わたしにも貸して下さらない?」
「ええ、お貸し申しますとも、これだけあるのですからお望み次第です」
「どうぞお貸し下さい、わたしは、この鳩に頼んで上野原まで使に行ってもらいましょう、それともう一箇所は房州まで……」
「そいつはいけません、鳩というやつは、よく使をするにはしますけれども、無条件でどこへでも行くというわけにはいかないのです、ある特定の場所のほかへは、自由に使命を果しに行く能力がありません、そこが畜生の悲しさですね」