Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
あわてたな――ちょうど我々が来訪して来た時に、お雪ちゃんはここまで読みすましていたのだ。そこへ不意に我々のおとないを聞いて、あわてて栞をはさむ余裕がなく、ついムザムザと中身の本紙を折り込んでしまったので、これはお雪ちゃんの日頃ではない、非常の際の、ただ一度しか試みてはならない失策なのだ。ふだん、こんなことをしている子ではない、というように北原が、忽ちお雪ちゃんのために有利な弁護の道を発見してしまいました。しかし、それが後になって、今まで、絵だけ見て、飛ばして行った本文を、そこから読むともなしに読み出してみると、
「既にして夜行太等は、お夏が儔多からぬ美女たるをもて、ふかく歓び、まづその素生をたづぬるに、勢ひかくの如くなれば、お夏は隠すことを得ず、都の歌妓なりける由を、あからさまに報げしかば、二箇の賊は商量して、次の日、何れの里にてか、筑紫琴、三絃なんど盗み来つ、この両種をお夏に授けて、ひかせもし、歌はせもして、時なく酒の相手とす。只この遊興のみならで、黒三が宿所にをらぬ日は、お夏を夜行太が妻にしつ、又夜行太がをらぬ時は、黒三が妻にもす。たとへば是れ両箇の犬の孤牝を愛づるに相似たり、浅ましきこといふべうもあらねど、さすがに我児のいとほしければ、お夏はこれすらいなむによしなし。