Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
中の湯の温泉には、宿屋というものはありません。
板を屋根にした掘立小屋が、空しく朽ちて、湯は川の端、巌の間の到るところに湧いている。兵馬は、こんな温泉に一日――もし許すならば十日でも二十日でも滞在して、思うさまこの巌の間の湯につかっていたいというほど、いい気持のした温泉でした。
案内した猟師は、そこから吹き出すのも、ここにたまっているのも、みんなお湯ですよ、まあ、もう少し進んでごらんなさい、天然の湯滝がありますから。湯滝は白骨にもありますが、あれよりズット大きい――といって、渓間を導いて、兵馬を二つの滝が女夫のように並んでいるところへ連れて来ました。
「どうです、この二つの滝はみんなお湯でございますよ」
それは高さに於て四間、幅に於て三尺ほどの、絵に見たような自然の滝。近くよってさわってみると、全くの温泉です。
白骨にも湯の滝はあったけれど、あれは湯を引いて、人に打たせるように人工が加えてあったし、それと大きさから言っても、これとは比べものにならないのに、これは天然の滝そのものが全部の、自然の湯として現わされているのですから、兵馬は最初、滝の近く寄って、わざわざ腰を押しのべて触れてみようとしたが、ついに、たまり兼ねて行李を捨て、帯刀を脱し、一切の旅装をかなぐり捨てて、その滝壺の湯に飛び込んでしまいました