Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「ここんとこの殿様には、目が三ツあるね」
先日、平身低頭していた凧の持主が、突然にこう言い出すと、
「ああ、本当だよ、眼が三ツあるよ、一つはここんとこのまんなかにあって、錐のような形をしていたよ」
眼が三ツある殿様。普通の眼のほかに、錐のような眼が、額のまんなかに一つついていて、総計三ツある。
「じゃあ、三ツ目錐の殿様と、おいらたちで名をつけようじゃねえか」
「三ツ目錐の殿様――よかろう」
「いいかえ、では、ここの殿様は三ツ目錐の殿様、このお邸は三ツ目錐の殿様のお邸っていうんだなあ」
「ああ、そうきめちゃおう」
「きまった、きまった、三ツ目錐の殿様、三ツ目錐のお邸」
異議なく、ここに新名称が選定される。口さがなき根岸わらべによって、神尾主膳は、三ツ目錐の殿様の名を奉られてしまう。こういう名称は、本人が聞いて、喜んでもよろこばなくても、禁じてもすすめても、それの流行は止むを得ない。
子供たちも、さすがに、殿様自身に聞えるようには、選定名称を呼びかけはしないようです。
三ツ目錐の殿様は、日を期して、これらの童共のために門戸を開放するのみならず、時としては、座敷の上まで、その闖入を拒まないことがある。