Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

五十三

そこで米友は、とある磯馴松の根方に来て、大の字なりに寝てしまいました。

誰か人が居合わせたら、たずねてみようとはしたらしいが、あいにく、見渡す限りのところには、人らしいものの影が見えなかったから、寝ている方がよいと思ったのでしょう。

杖も、荷物も、抛り出して、磯馴松の下で仰向けに大の字に寝そべっていると、松の木の葉の隙間から青空が見えて、白い雲が漂う、つい枕辺では、ざざんざ、ざざんざと波の音がする。

いい心持でうとうとする、うとうとがかなりの熟睡に落ちる。眼がさめた時は、天地が灰色になっている。

あ、しまった! 寝過ごした。

杖を拾い、荷物をかつぎ取って、またも海も背負うて、人里をめざして走り出す。

「ちぇッ、お腹も空いてきた、水を飲みてえな」

砂丘と草原とを行くと畑がある。その畑にさつま薯らしいのと、蕪と、大根とが作られてあるのを見る。

畑の前に立って、米友が暫く前後左右を見廻す――人あらば、請うて物を得ようとするつもりらしいが、あいにく、人がない。暫く佇んでいた米友、この男には、鷹は死すとも穂をつまず、といった見識から来ているというわけではないが、一枝半葉といえども、人の物をただ取っては悪いということを知っている。