Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
恥というものは、よく考えてみると、取るに足りないほどのことを、ただ世間体のおもわくだけで、小さくなっていることじゃありますまいか。
自分は自分だけの信ずるところで、生きて行けさえすれば、何をして悪い、何をして恥だということがありましょうか。
よく考えてみますと、わたしたちは、自分たちが弱いから、信念が無いから、それで世間というもののために圧迫されて、この白骨の谷まで押しつめられてしまったのじゃありますまいか。
いつか、申し上げた、イヤなおばさんから、わたしはイヤなことを言われて、もう世間へ面向けができないほどに、イヤな思いをさせられました。一時はどうしてやろうかと思いました。こんな山深いところにいてさえ、自分の身の置きどころの無いことを考えて、出る人、来る人に気兼ねをして、温泉に来ていながら、この肌を誰にも見られまいと苦心するなんぞ、なんという愚かなことでございましょう。
それが、白川村の話を聞いているうち、そうして、いよいよ、その白川郷まで入ってしまおうと決心した時、そんな気兼ねや、羞恥が、一切合財サラリと取払われてしまいましたようです。
国へ帰って、もと通りの生活をし、やがて世間並みの女としての、きまった生活を予想すればこそ、いろいろの煩悶もありました。