Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
をして上げたことと思えば腹も立てないではないか。
それにしても、少々祝い過ぎたようです。
事がこう不意に出でては、いかに古式の復活でも、驚かされないわけにはゆかぬ。いかに物に動ぜぬ道庵先生とても、行逢いがしらに前後左右から水をブッかけられたのでは、悲鳴をあげないわけにはゆきますまい。せっかく、名古屋人士が、充分の好意を以て、あらゆる名所見物を道庵先生のために開放したのはいいが、古式の復活も、ここまで来ては少々礼を過ぎたことになりはしますまいか。
しかし、これを好意に取ると、親切なる名古屋人士は、あらゆる歓待をこの珍客に向って加え、のぼせ上らせるだけのぼせ上らせてみれば、もうこの上は、そののぼせを引下げるよりほかには御馳走が無いと見たから、ついにこの最後の水饗応に及んだものだろうかと察せられる。
また、道庵の方から見て、こうも仰山に、周章狼狽して、陸上に沈溺し、足も腰も立たない醜態を演じているが、実のところこれも芝居だ。
「面白え、その水祝いというのを生のいいところで一つ振舞ってもらいてえ」
なんぞと言い出したのが最後――不意に狼狽したように見せて実は、こういう目に逢ってみたいことを万々承知で、役者を揃え、舞台を廻させておいたかも知れぬ。