Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「こんにちは……」
その言葉と態度とで見ると、せんだっての晩、水車小屋へ潜入して、自分に、とっくりと意見を試みて行ったその人と、気がついてはいないらしい。
「こんにちは……」
と七兵衛も同じように挨拶する。
「ソダごしらえですか」
与八がいう。
「はい」
七兵衛が答える。
「犬が邪魔をしやしませんかね」
「いいえ、邪魔をしやしませんよ。その犬はお前さんとこの犬ですか」
「これはお松さんの犬ですよ」
「お松さんは、どこからその犬をつれて来ましたか」
「どこからですかねえ、江戸にいる時分からついていましたよ」
「そうですか」
「はい、でかいけれど、おとなしい犬ですよ」
「お前さんは、沢井でしたね」
「はい」
「沢井の机の若先生は、今どちらにおいでになりますか」
「竜之助様ですか」
「はい」
「あの人はどこにおいでなさいますかねえ」
「奥様は……」
「奥様というのは?」
「あれ、その、お浜様といって」
「ああ、あのお浜様か、ありゃ、江戸でお死になされた」
「おやおや、それはお気の毒な」
「気の毒なことをしましたよ」
「お子さんは……」
「お子さんというのは、あの郁太郎さんのことだろう」
「ええ、郁太郎さんと申しましたかね」