Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

六十七

信濃の国は安曇の郡の山また山――雪に蔽われた番所ヶ原を、たったひとりで踏み越えて白骨谷に行くと広言した弁信法師、ふと或る地点で足を踏みとどめてしまいました。

「おいおい、寒い時は山から小僧が飛んで来るものだぜ、今時分、逆に山入りをする小僧があるものか」

どこからともない、嘲笑罵声を聞き流して耳を傾けた弁信法師――

「おや、私一人ばかりかと思いましたこの道に、うしろからお呼びになったのは、どなたでございます。え? 何とおっしゃる、白骨谷へ行くのは止めに致せとおっしゃいますか。ははあ、それもそうでございますな、私も今となってまた心が変りました、最初のほどは白骨へ、白骨へと引かされる心持になりましたが、今となりますと、どうも白骨谷が空になったように思われます、私が逢いたいという人、私が尋ねたいという人は、もう白骨谷にはいないように思われてなりません。はてそれではどこへ行ったとおっしゃるのですか。左様、それは私にもわかりません、ただ白骨へ行こうという気が抜けました、白骨にはもう私の尋ねる人はおりません、そこで私も雪の中を艱難辛苦してあれまでまいる必要がないような心持になりました」