Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「ちぇッ、緩怠至極の奴等だ」
いらだちきった組頭は、この上は、自身糺問に当らねば埒が明かんと覚悟した時分、黒灰浦の海岸の陣屋の方に当って、一旒の旗の揚るのを認めました。
そこで組頭は、再び気をしずめて遠眼鏡を取り直して、その旗印をながめたが合点がゆきません。
旗の揚ったことは組頭が認めたのみではなく、配下の者がみな認めたけれど、その旗印の何物であるかは、遠眼鏡のみがよく示します。
上州高崎松平家か、その系統を引くこの地の領主大多喜の松平家ならば島原扇か橘、そうでなければ、俗に高崎扇という三ツ扇の紋所であるべきはずのを、いま、遠眼鏡にうつる旗印を見ると、それとは似ても似つかぬ、丸に――黒立波の紋らしいから、合点がゆかないのです。
そこで組頭は、またも配下の一人に遠眼鏡を渡しながら、
「あの旗印はありゃ何だ、君ひとつ、よく見当をつけてくれ給え」
「なるほど」
それを受取った配下の一人が、しきりに考えこんでいると、組頭が、
「高崎の紋ではないじゃないか」
「仰せの通りでございます、丸に立波のように見えますが」
「その通りだ、拙者の見たのも丸に立波としか見えない、が、丸に立波はどこだ」