Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「これは、チュガ公の母親がこしらえた白牛酪だよ、薬物だから、少しお食べ」
すすめられるままに、その匙のような杓子ですくい取って、少し食べてみたが、甘くも、辛くもない、薬物だというから、苦くもあるかというにそうでもない、妙に脂っこい、舌ざわりの和らかな、口へ入れているうちに溶けてしまいそうなものだから、
「何だい、番兵さん、これは、味もなにも無いじゃないか」
「薬物だからね」
「何の薬になるの」
「何の薬ってお前、白牛酪なんてのが、滅多に口へ入るものじゃないよ」
と、そこで番兵さんが、茂太郎に、白牛酪の講釈をして聞かせました。
白牛酪は、この牧場の白牛に限ったものである。この牧場の白牛から搾り取った乳が、すなわち白牛酪となって、天下無二の薬品と称せられているのだ。
それは主として将軍の御用であるほかに、極めて僅少の部分が、大名その他へわかたれる。
売下げを希望する者は、江戸の雉子橋外の御厩へ、特別のつてを求めて出願する……その貴重なる薬品を、番兵さんの役得とはいえ、茂太郎はここで振舞われたことを、光栄としなければなるまい。
光栄は光栄かも知れないが、甘くも、辛くも、なんともないことは争われない。