Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
しかしながら、この競走の結果は大抵わかっています。何をいうにも茂太郎は、子供の足です。もうどうにもこうにも、あがきがつかなくなったと見えて踏みとどまり、追いかけて来る後ろの足おとを、恨めしそうに、闇の中から眺めて、
「叱ッ、叱ッ」
と言いました。これもたあいのないこと。ここで、「叱ッ、叱ッ」と小さな口で叱ってみたところで、辟易する相手ならば、ここまで狼狽して逃げて来るがものはないではないか。茂太郎は下へ屈んで、右の手で石を拾い、
「叱ッ、叱ッ、お帰りというのに」
再び叱りながら、その石を、闇の中へめがけて投げ込みました。
手ごたえはあるにはあったのです。茂太郎の投げた石で、追い迫った足音はハタと止みました。
相手も相手です、このくらいの威嚇で辟易するくらいなら、追いかけるがものもないではないか。
そこで、茂太郎は、またしても足を立て直して、まっしぐらに走り出すと、つづいて、例の足音が、ばたばたと追いかける。
走ること暫くにして、どうしてもまたあがきがつかなくなって、
「叱ッ、叱ッ」
しかしながら、もう駄目です。この時、後ろなる或る物から、完全に追いつかれてしまっていました。