Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「御苦労だったね」
このごろ、新築された厩の前へ来て、茂太郎が牛から下りる。
厩には馬がいない。いないはず、これは駒井と田山とが、轡を並べて出て行ってしまったあとだから――
牛から下りた茂太郎は、牛の労をねぎらって、これに、かいばを与え、水を与え、雨に濡れた身体をぬぐうてやり、
「御苦労、御苦労、もういいからお帰り」
たてがみのあたりを撫でて軽く押してやると、チュガ公は無雑作に動き出して、可愛ゆい眼をパチクリする。
「番兵さんが心配するから、早くお帰り」
「さよなら」
チュガ公は、言われたままに、とっとともと来た方へ走り出す。
「道草を食べないでおいでよ」
チュガ公は振返って、眼をパチクリする。
「はいはい、承知致しました」
とっとと走り出す。珍客を送るために出て来て、使命を全うしたことの喜びを以て、いそいそとして帰る。
行くも、帰るも、チュガはチュガだ。
この分では、六里の道を無事に帰って、番兵さんに、ただいま送って参りました、との挨拶をするに違いない。
チュガ公を帰してやった茂太郎は、足を洗い、濡れた着物をぬいで、台所の隅へ行き、乾いたのと着替えてから、こっそりと、おまんまを食べてしまいました。