Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

「ずいぶん、いろんな絵があるから、すっかり、見てしまおうと思って」

なるほど、一枚描きの絵や、仮綴じの画帖や、絵巻や、まくりものが、あたり一面に散らかしてあって、室の一隅の草刈籠は、大塔宮がただいまこの中から御脱出になったままのように、書き物が溢れ出している。兵部の娘が、今ながめている画巻も、その籠の中から引き出して来たものでしょう。

「あたしにも、見せて頂戴な」

茂太郎は、兵部の娘の傍へ、その頬と頬とがすれ合うばかり寄って来て、左の手を無雑作に、兵部の娘の肩から首を巻くように廻して、同じ画巻をのぞき込む。

「いやな先生ねえ、なんでもかでも、見る物をみんなかいちまうんだよ」

「何がかいてあるのさ」

「ごらん、なんでもかんでもこの通り、わたしたちのすること、なすことを、みんなかいてしまってあるんだよ」

「見せて頂戴」

「そんなに引張らないで、ここへ置いてごらんな、一緒に見たって、見えるじゃないの」

「あれ、お嬢さん、浜を歩いている後ろ姿があらあ」

「後ろ姿なら、いいけれど、ごらん」

一枚をめくると、

「あれ、お嬢さんがお化粧している」

「そうよ、お化粧ならまだいいけれど、ここをごらん」