Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「だって、お嬢様は、以前は一晩でも、あたいがいなければ淋しがったり、恋しがったりしていたくせに」
「まあ、いいからお放し……ね、いい子だから、あんまり、しつっこいと人に嫌われますよ」
「ねえ、お嬢さん、あっちへ行きましょうよ」
「どこへさ」
「あっちへ」
「あっちとはどこさ。まあ、この絵をみんな見てやりましょうよ、知らん顔をして、こんなにかき散らしているのが、ホントに憎らしいから」
「あたいは絵なんか見たくない、それに留守の時に、人の物をだまって見るなんて、悪いから」
「だって、お前、向うだって、だまって人の姿をうつしたりなんかして、知らん顔をしているんだもの……おたがいさまよ」
「行きましょうよ、あっちへ」
「どこだっていいじゃないの」
「でも、居慣れたところの方がいいでしょう」
「やんちゃな子だねえ……」
その時、窓の下の海岸を、人が走り出して、
「鯨だ、鯨だ、鯨が来たよ!」
室内の二人は、この声におどかされてしまいました。
十三
この近海へ、鯨が見えたということは珍しい報告である。珍しければこそ、人があんなに騒いだのだろうと思われる。
二人もまた、この物置から走り出して、海辺へ出て見ると、鯨だ、鯨だと言ったのは多分、「黒船だ、黒船だ」