Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「武州の高尾山ではね……」

「うむ」

「武州の高尾山の奥の院で、ある晩に、天狗様がこうしてお銭の勘定をしていましたとさ」

「天狗様が銭勘定をかい、イヤにみみっちい天狗だなあ」

「そうするとね、次の間で、どろぼうがそっと立聞きをしていたんですとさ」

「なるほど――」

「ところが、どうでしょう、そのどろぼうが、天狗様の銭勘定をしている次の間の壁板に耳をくっつけて立聞きをしているうちに、その耳が壁へすっかりくっついてしまったんですとさ。天狗様が、誰だ、そこで立聞きをしている奴は……と叱ったものですから、驚いてその盗賊が逃げようとしたが、板に耳がくっついてしまったものだから離れられないのです。で、とうとう小柄を抜いて自分の耳を切り裂いて逃げたと言いますがねえ、その耳の附いた板が、今でもあのお山に宝物となって残っているそうです。それを思い出したせいか、わたしはあんまり静かにしてお銭を勘定していると、次の間で誰か立聞きをしているものがあるのじゃないかと思われてなりません。米友さんは?」

「おいらは何とも思わねえが、どうも誰か人が来るような気がするにはする」

「それごらんなさい、わたし、どうもさっきから、何かわたしたちの背後に来ているものがあるような気がしてなりません」