Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

こっちはこっちで楽しんでいたんだからいいようなものの、先方の身になってみると、「米友さん、何をしているの」と一言、たしなめてみてもよかりそうな場合であったではないか。

お雪ちゃんが、今まで何とも言わなかった、あの子のことだから、いるんなら何とか言ってくれなけりゃならぬ場合なんだが、いっこう挨拶がないところを以て見ると、いないのかな。

いないといったところで、今夜この場合、どこへ行くものか。では、寝たのか。あれほど先に寝むことを遠慮していた当人が、だまって寝込んでしまうはずもなかろうじゃないか。してみると、また一人おとなしく銭勘定でもはじめたのかな――それにしても変だ。

という気になって、米友が、のぞき込むのを先にするようにして座敷へ一足入れて見ると、行燈の光が著しく暗くなっているが、消えたのではない。ここまで来ても、お雪ちゃんが何とも言わない、そうして、お雪ちゃんその人の影も見えない。

「おや?」

米友は忙しく座敷の四方を見廻したけれど、お雪ちゃんの姿はいっこう見えないが、その薄暗い行燈の光を通して、燃えくすぶって白い煙をたなびかせている炉辺の彼方に人がいる。