Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
お雪ちゃんは、奥の間に不時の珍客を案内したままで、ここへ戻って来ない。
早手廻しといおうか、米友のためには、そこへ寝具が用意してある。その寝具がお雪ちゃんに代って物を言っている。
「わたしたちは、あちらで寝みますから、友さんはここでお寝みなさい」
その時、米友が、一つのびを打って、
「ばかにしてやがら」
と言いました。
奥の座敷の方は、人が入って行ったとも見えない静かさです。
屋の棟には猛禽の叫びもなく、籠の中には鷲の子のはばたきもありません。胆吹山の山腹の夜は、更けきっている。
米友は炉中に三本の薪を加えました。
寝具にはあのとき一瞥をくれたままで、もう見向きもしないが、薪を加えた炉の火が赤々となったのを無意識にながめているうちに、真黒な南部の大鉄瓶が、ふつふつと湯気を吐き出したのを、うっとり見入って、米友の頭には、また何かしら考えさせるものが流れ込んで来たらしい。
だが、この男が、その時、打って変ったお雪ちゃんの挙動に対して、なんらか嫉妬に似た不快な感情を刺戟され、それがために多少やけ気味で、ふて返っているのかと見ると、それは大きな誤解でした。一時は、ちょっと変な感じにうたれたに相違ないが、もう、こんなことにはタカをくくってしまって、彼の頭は全く別の世界の追憶やら、想像やらがとめどなく流れ込んで来て、その