Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

もともと尾張中村の賤しい土民生れでございますから、一族郷党に優れた取立てがあるというわけではございませんし、自分の身に何の箔がついているわけではございません、乞食同様になって諸国を流浪の揚句が、ようやくこの人ならばと思う主人を自分で見出しまして、自分でその人のところへ押しかけ奉公を致しまして、やっと草履取に召使われましたのが運のはじめでございました。藤吉郎はあれで天下第一等の苦労人でございます、世間では天下第一等の幸運者のようにも申しますが、わたくしたちから申しますと、天下第一等の苦労人と申すほかはござりませぬ。幸運を羨む人は多くございますが、苦労のことはあんまり認めてやるものがございません」

「なるほど――」

「あなた様も御承知でございましょう、やはり尾張の出身ではございますが、身分は藤吉郎などとは比べものにならない家柄、今は安土の主織田信長でございます――織田殿を主人に見立てたばっかりに、藤吉郎も今は江州長浜で五万貫の身上になりました」

「そうすると、そなたのそのお子さんも、やがて一国一城のあるじになり兼ねぬ運命を持っておいでだ」

「はい、親類から一人エライのが出ておりますと、何かにつけて仕合せでございます」