Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
ですから、舞子、芸子、たいこ末社の華々しさよりは、この女親分の威勢のほどに気を取られ、目を奪われないものはありません。
こうして、お角さんの八景遊山舟が出立の用意に忙がしがり、岸に立つ者、もやっている舟の注視の的になって、その風流豪奢のほどを羨んだり、羨ましがられたりしているところへ、群衆を押分けて、のそりのそりとお角さんの舟へ近づいた異形のものが一つありました。
頭はがっそうで、ぼうぼうとしている。身にはやれ衣をまとい、背中に紙幟を一本さし、小さな形の釣鐘を一つ左手に持って、撞木でそれを叩きながら、お角さんの舟をめがけて何かしきりに唸り出しました。
その姿を見ると、芝居でする法界坊の姿そのままですから、あほだら経でも唸り出したのかと見ればそうでもなく、謡の調子――
「秋も半ばの遊山舟、八景巡りもうらやまし、これはこのあたりに住む法界坊というやくざ者にて候、さざなみや志賀の浦曲の、花も、もみじも、月も、雪も、隅々まで心得て候、あわれ一杯の般若湯と、五十文がほどの鳥目をめぐみ賜わり候わば、名所名蹟、故事因縁の来歴まで、くわしく案内を致そうずるにて候、あわれ、一杯の般若湯と、五十文の鳥目とをたびて給べ候え、なあむ十方到来の旦那様方……」