Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

その結果が、お銀様を「長安古意」のたんのう者としたのみでなく、その作者であるところの盧照鄰という古えの薄倖なる詩人に対して、同情と哀悼の心をさえ起さしめたのであります。

お銀様の頭には、今、この「長安古意」が蒸し返されて、あのとき受けた強い印象が、つい目の前に蘇り迫って来るもののようです。

お銀様は、ただもう、その古詩を思い出すことによって、感情が昂ぶってきましたが、足許は焦らずに、胆吹の裾野の夕暮を、じっくりと歩んでいるのです。

その時、不意に右手の松林の間から、叱々と声がして、のそりと、一つの動物が現われ出しました。見ればそれは巨大なる一頭の牛が、後ろから童子に追われて、ここへ悠然と姿を現わしたものですが、牛は牛に違いないが、その皮の色が真青であることが、いとど驚惑の感を与えずには置きません。

それが行手に、のそりと現われたものですから、お銀様も少しくたじろぎました。しかし相手は牛のことであり、不意に現われたとはいえ、牛飼がちゃんと附いて、この温厚な動物を御しているのだから、寸毫といえども恐怖の感などを人に与えるものではありませんでした。

「奥様、こんにちは」