Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

日中ならば時のうつり方も緩慢に見えますけれども、黄昏時であっては、急速の移り方で、みるみる暗いもやがいっぱいに立てこめて、暮の領域はみるみる夜の色に征服されて行くのが烈しいのです。

四方が全く暮れてしまったと言ってもよいのですが、お銀様はまだその地点を動きません。穴掘りも、ようやく深く掘り下げて行くほどに、姿は陥没して行くけれども、鍬の音だけは相変らずカチリカチリ、陰惨なうちにも迫らない動作を伝えていますが、この方はこれでよいとして、今し掘られつつある墓穴は、この一つだけではありませんでした。

それよりもなおいっそう罪深き一方を葬るためと言われた他の一つも、同様以上に掘下げ工作が進捗しているはずなのですが、この方は最初から、うんだともつぶれたともお銀様に向って挨拶は無く、お銀様もまた、最初から、とんとこの方はおかまいなしの体でしたが、ややあって、静かに歩みを移して、その閑却せられた一方の墓穴の方へと近づいて来ますと、さいぜんの穴の中から兵作の声で、

「おーい、若衆さん、今お嬢様がお前の方へいらっしゃるから、よくお話をして上げてくんな」

そうするとこちらの穴の中から、若いやさ男の声として、