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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

というのを、幼な馴染に聞いた昔語りの気分と、すっかり同じ心持になって、時々まじる甲州言葉までが、時とところを超越したお伽噺の世界に自分を誘うように聞きなされるが、そうかといって語り出すところの物語であり、お伽噺であるところの話の本質は結局、甚だめでたいものではないのでありました――

昔、あるところに旅の商人がありました。

いつも、若い番頭を一人つれて太物の旅商いに歩き、家には本来相当な財産がある上に、勤勉家でもあり、商売上手でもありなかなか繁昌したものです。

ところが、留守を預かるそのお内儀さんの心の中が穏かでありませんでした。

「うちの主人は、ああして、商売上手に諸国へ出張して儲けて来るが、あんな若い番頭を連れて歩いたのでは、いつ番頭に誘惑されて色里へでも引込まれ、または旅先で、あだし女をこしらえてはまり込み、売上げも、元も子もないようにされてしまう場合がないとは限らない」

というような思い過ごしと、女の浅はかな心から、これは早くこちらから先手を打って置く方がたしかだと、思案を凝らしたその思案というのが、やっぱり、女の浅はかに過ぎませんでした。

これは何しても、あの番頭をこっちのものにして手なずけて置くに限る、そうすれば、旅先で、旦那の目附役にもなり、家へ帰っては自分の味方となる――それに越したことはない