Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

馬鹿な面をして、お銀様の後ろ姿を見送っているばかりです。

こうして、お銀様の姿の小さくなるまで見送ってまだ立去りきれなかった二人が、また改めて面を見合わせて、

「ありゃ、このごろ、お城あとの地面が売れたそうだが――あのお城へ来る奥様じゃねえか」

「そうかも知れねえ」

「国中一番の大金持だって話だから――」

「そうだ――なら、お気の変らねえうちに売ってしまった方がいいかも知れねえ」

その時、二人とも、また逆さにころがり震動してお銀様のあとを追いかけ、

「おーい」

「もうし」

「もうし」

「御新造様――」

「お城あとの奥様」

呼ばれてお銀様が振返ると、

「もうし、この鳥をいくらで買うておくんなさる」

「いくらでも、お前さんたちの欲しいと思うだけの値をつけてごらん」

「え!」

彼等二人は、またそこで二の句がつげなくさせられてしまいました。

三

そこで、とうとう、猛禽の子売買の路上取引は成立せず、ついにお銀様は大手の崩れ門から城跡の中に身を隠してしまいました。

お濠外に残された二人の農夫は、相変らず馬鹿な面をして、ぼんやりと、相手を呑んでしまってけろりとしている門内を見込んでいるばかりです。