Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「ごらんなさい、あの比良ヶ岳から南へ、比叡山の四明ヶ岳――その下が坂下、唐崎、三井寺――七景は雲に隠れて三井の鐘と言いますが、ここではその鐘も聞えません。唐崎の松は花より朧ろにてとありますが、その松もここでは朧ろにさえ見えはしません」

「けれどもお嬢様、そのつもりで、こうして眺めておりますと、三井寺の鐘が耳許に響き、唐崎の松が墨絵のように浮いて出る気持が致すではございませんか」

「そう思えばそうですけれども、物足りない思いもします」

「一日、ゆっくりおともをして、あの辺を見て歩きたいものでございます」

「そのうちに、一緒に出かけましょう、こちらの岸から船を浮べて、船でゆっくり八景めぐりをしたいものです」

「お船でしたら、それに越したことはございません、おともをさせていただきたいものでございます」

「そんなに遠くないうちに、その暇が得られるだろうと思います」

「楽しみにしてお待ち申しております」

「それから、お雪さん――」

と、お銀様が改まって呼びかけたものですから――お銀様はお雪ちゃんと呼ばず、お雪さんと呼ぶのです――そこでお雪ちゃんが、

「何でございますか、お嬢様」