Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

世間並みの萩や、すすきや、桔梗、女郎花の秋草がいっぱい咲いている上に、この山でなければ見られない花という花がたくさんに咲いています。胆吹の百草と言いますけれども、百草どころではありません、五百草も、千草も、三千草も、花という花はみんなこの山にあるのです。見た目の美しい百草の中には、何とも言えないよい香いを不断に放っているものがあります、その香いと色の中を、ちょうど夜が明ける時分に、わたしたちが歩いて行くことができるのですから、こんな楽しい山登りは、ほかにはございません。あなたは、白馬ヶ岳のお花畑を御存じでしょう、あれよりも、この胆吹の山の花の路の方が美しいのです。白馬のお花畑は、美しいけれども、冷た過ぎ、清くあり過ぎます。ここのはほんとうに花野原……花という花がみんな、人間味を以て咲きそろっているのですから、同じ美しさにも温か味がありますのよ」

そう言ってお銀様から遊意をそそのかされても、お雪ちゃんは少しも、誘われる気にはならないで、かえって命令のように響きます。百花が絢爛であろうとも、香気が馥郁であろうとも、温か味があろうとも無かろうとも、白馬ヶ岳のお花畑のあくまで清く、あくまで冷たいのには心を惹かれたが、ここでは何と言われても、その気になれないのは、多分お銀様その人の口から言われたというばかりではなく