Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

なるほど、誂えて対にこしらえさせたと思われる装束が、早くもお雪ちゃんの枕許にちゃんと並んで催促している、こうなっては退引がならない。

圧倒的に、いつのまにか、お銀様と同じこしらえをさせられてしまって、いざとばかり、戸外へ出ますと、星はらんかんとして輝き、胆吹の山が真黒に蟠っている麓は、濛々たる霧で海のように一杯になっているのを見ました。お銀様は無二無三にその霧の中へと没入して行くので、お雪ちゃんも同様の行跡を猶予することを許されません。

雲霧晦冥の中に没入して行くお銀様、それに追従せしめられて行くお雪ちゃん、ある時はお銀様の姿をはっきりと霧の中に浮ばせてみとめ、ある時は、どこにどう彷徨うか見失って呆然として立つと、不思議にお銀様が霧に隠れる時は、きっとすずしい鈴の音が聞えます。

ふと気がつくと自分は、お銀様のあとを追うているのではない、ただ清らかな鈴の音を追うて、雲霧の中を突き進ませられているのだと感じた途端に、また、ありありと、お銀様の姿が先に立って、すっきりと歩み行くものですから、その鈴の音を聞いている時は、清水の湧くような爽やかな気分に打たれますけれども、お銀様の姿のひらめくのを見ると、ゾッと、身の毛が立つような思いをします。