Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「聞き手があなたじゃ張合いがないけれど、でも、あなただって芸者のうたを聞いて悪い気持はしないでしょう――今日はわたし、全くつとめ気を離れてうたって上げることよ、ところがところですから、箱ぬきで我慢して頂戴――今度は新しいところをお聞かせしてあげるわ、これは、御贔屓になった夕作さんという土地の通人がこしらえたうたなのよ――古風なのと違って、また乙なところもあるでしょう、おとなしく聞いていらっしゃいね」

思う殿御と

ころがり月を

晴れてみる夜が

待ち遠し

(口三味線で合の手)

梅も桜も

一度に咲いて

よそじゃ見られぬ

飛騨の春

兵馬は、なんとなくいよいよいい心持に引込まれて行くのです。事実、芸者のうたなんぞと軽蔑していながら、今日はどうしたか、それからそれと深みに引入れられて思わずうっとりとしてしまったところを、

「まあ、あなた、わたしのうたを感心して聞いていらっしゃるわね、頼もしいわ。そりゃあなただってお若いんですもの、うたを聞いていやな気持ばっかりなさるはずはないわねえ。お若いうちは食わず嫌いから、皆さん堅そうなことをおっしゃいますけれど、人間がほぐれて行くほど、お酒の味も、咽喉の味もわかって参りますのよ。