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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

あなたというお方も、もうこっちのもの、これから、わたしがみっちり仕込んであげるわよ。ところでもう一つ、今度は、飛騨の高山の土地のうたでない、本場のお座附をわたし、あなたのためにうたってあげるわよ」

そうして、鶯の鳴く前芸のように咽喉をしめて、何か本格の芸事をはじめようと構えた時に、兵馬が、別の方向にふと聞き耳を立てました。女の方も何か少しおびえてきました。

気のせいか、峠の向うで人の声がしきりにガヤガヤとしだしている。

兵馬は、ひらりとその音の方を見届けに行きました。

十一

峠の鼻のところまで物見に出て行った宇津木兵馬は、少しく狼狽の気味を以て取って返して来ました。

「困った!」

「誰か参りますの」

「人が登って来る――しかもその人が、仏頂寺弥助と、丸山勇仙らしい」

「えッ、仏頂寺!」

と言って、さすがの福松が、今まで晴々していた面の色をさっと変えました。兵馬も同じ思いと見えて、

「あの連中と逢っては為めにならない」

「隠れましょうよ――早く」

「隠れるに越したことはあるまい」

「さあ、早く、あなた、これをお持ち下さい」

二人は秋草を分け、木の間を分けて、早くもめざしたところの樅の大木の二本並んだ木の蔭へ来て、叢の茂みに身を隠してしまいました。