Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
伊太夫からたずねられて、お角さんが少し息をはずませ、
「ちょきが一ぱい流れついただけのことなんですがね、御前様、どうも、その中が穏かでないんでございますよ」
「どう、穏かでないのですか」
「なんぼなんでも、ああまで取乱さなくってもよかりそうなもの」
「ははあ、そんなに見苦しくなっていましたかな」
「見苦しいにもなんにも、いったい、心中でもしようという人間には、もう少したしなみというものがなくてはいけませんね」
「心中? 相対死ですか」
「そうでございますよ、さっきのあの盃と、帯と、駒下駄の判じ物でもわかりますよね、あの舟で思いきり楽しんで、それから死出の旅という寸法なんでしょう、行き方は洒落ていないではありませんけれど、ああ取乱したんじゃお話になりません」
「どうして、そういうことがわかります、ほんとうに心中者があったとすれば、このままでは済まされますまい、迷惑千万なことだが、一応、手を尽してやらなきゃあなるまいが」
と伊太夫が、そこに思いやりをはじめました。小舟の中が取乱してあるか、取乱してないかはこの際、論外なことで、お角さんの見込みの通り、程遠からぬ時間の間に、そういう変事をやり出した人間がありとすれば、その分別と、無分別の如何は問うところでない、通り合わせたものの人情として、船同士の普通道徳として、一応も二応も