Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
道庵先生としては、それをひがんでいるわけではない。誰にしても、十八文の貧乏医者を取持つよりは、当時きっての分限の御機嫌を取ることの有利なるに走るのは人情だから、いまさら道庵が、そんなことにひがみを起しているほどの野暮ではないはずだから、特にそれを悲観しているとも思われません。
道庵先生が、生活の空虚を感じて、人生を悲観している最大なる理由としては、現在の自分が、徒手遊食の徒に堕しきっているという点にあるらしいのです。前途の旅を急ぐなら急ぐでいいけれど、こうして途中へひっかかって、京都がもう眼の先に控えているのに、進みもならず、退きもならずしているうちに、本来そうあり余るという身代ではないから、懐中が少しずつ寒くなる。懐ろが寒くなると同時に心細くなる。その経済上の理由も一つはあるのです。しかし、その辺は、まかり間違えば金策の大家なるお角さんが附いており、お角さんの背後には、一大財閥が控えているのだから、ずいぶん心丈夫であってしかるべきだが、そこは痩せても枯れても道庵である、財閥にすがるというような卑劣心が兆してはならない。御粗末ながら自分の旅は、自分の財布でまかなうよと、意地を張っている。