Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

お角さんが、屏風をちょっと押しやると、そこで枕についていたのは、やっぱり女の人であります。枕にかかる洗い髪は、まだ若い緑の黒髪がたっぷりしていました。

そうすると健斎老が、これは無言で膝行り寄り、患者の枕許へ手を入れて、しずかに取り上げた小腕を見ると細くて白い。

「ねえ、お雪様」

と、お医者さんに脈を見せて置いて、これも一膝進ませたお角さん。

枕に親しんでいるのはお雪ちゃんであります。お角さんは、お雪ちゃんを呼ぶに、お雪ちゃんともお雪さんとも言わない、お雪様と本格扱いです。

「はい」

「先生が、わざわざ田辺からおいで下さいまして、もうすっかり、こっちのものだと太鼓判をお捺しになりましたから、御安心なさいませよ」

「はい」

「そうしてね、お雪様、ここは閑静で、いつまで保養をなさっていてもかまいませんが、何を言うにも宿屋のことですから、行届き兼ねます、あなた様は、大阪へ帰りたい帰りたいとおっしゃいますが、いっそ、暫くこの先生のお宅に御厄介になって、それから充分おたっしゃになってから、大阪の方へお帰りになるようになさってはどうですか」

「はい」

何を言っても、はいはいと逆らわない。