Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
とお角さんが応酬しました。前口上の、御意の通り大いに儲けて、上方のお酒の相場を狂わすほどに飲ませて上げますよはいいとしても、あとの、もうたくさんとおっしゃっても、口を割って飲ませて上げますよは、よけいなことです。道庵も、口を割ってまで飲ませられてはたまるまい。
「なにぶん頼む」
それを道庵が素直に受けますと、お角さんが今度は健斎老の方へ向き直り、これは道庵先生に対するとは打って変った慇懃ぶりで、
「では健斎先生、これでお暇を申し上げます、この上とも、万事よろしくお願い申し上げます、そういう次第でございますから、病人の方には、道庵先生が御同行していることを当分はお話し申さない方がよろしいかと存じます、それから、こちらの大きな方の御厄介者、これが病人よりは一層の難物かと存じますが、この方も万事よろしく」
「ばかにしなさんな」
「ではなにぶん」
「失礼」
「お大切に」
「あばよ」
これがこの場の最後の挨拶。
右へ道をとれば山城の国、山科――左は伏見から大阪へ。
二人の医者は、わざとあんぽつを空にして、駕籠わきにつき添って歩いて行く。乗物と人物の見えなくなるまでお角さんは、追分の札の辻に立って見送っている。