Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
「大石――」
「誰だ、斎藤か」
「来たぞ、来たぞ、いよいよ来たぞ」
と腹這いながら斎藤が言いました。
「来たか」
「それそれ、あの通り、得意満々たる千鳥足、御自慢の御紋章の提灯が何よりの目じるしだ、そらそら、今、そこをその板囲いの前を通る」
「御参なれ!」
「やっ!」
と、大石鍬次郎が突き出した手練の槍、板囲いの間からズブリと出て、
「あっ!」
と、たしかに手答えがあった。表から見ると、無惨や伊東甲子太郎が、肩から首筋を貫かれて無念の形相――血が泉のように迸る。
「それ辰公――やっつけろ」
首を突き貫かれて、よろめく伊東甲子太郎に向って、真先に板囲いの中から跳り出して斬ってかかったのは、元の伊東が手飼いの馬丁。
「隊長、済まねえが、わっしに首をおくんなさい」
「貴様は辰だな!」
槍を掴んだ伊東の眥が裂ける。こいつは、先頃まで、自分が引立てて馬丁をさせて置いた辰公だ――八ツ裂きにすべき裏切者。
痛手に屈せぬ伊東は、刀を抜いて、一刀の下にこの卑怯なる裏切者を斬って捨てたが、この時、板囲いの中から一斉に跳り出した五人の新撰組が、抜きつれて、手負いの伊東を取囲んで斬ってかかる。五人に囲まれて、走り且つ戦い、よろよろと御前通りの法華寺門前までよろけかかって来た伊東甲子太郎。