Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
真に沈毅にして、勇敢にして、忠実なる犬は、二人の主というものを知らない。主人以外の人の与うる物を食わない。主人以外の人には一指を触るることを許さないはずのものであるべきに、この犬――しかもただ犬でないと、最初から米友が極めをつけてかかった非凡な犬が、こうまで一見の人になつき慕うとは、慕われてかえって物足りない。
人見知りをしない犬、節操を解しない犬、忠義ということを知らぬ犬、勇気なき犬、公娼の如き犬ならば知らぬこと、米友ほどのものが、あらかじめ極めをつけた犬にしてこのことあるは何が故だ。
そういうことを考慮に置かず、ただ見ていれば、何のことはない、その非凡犬と、小男とが、必死になって、組んずほぐれつしているとしか見えない。血こそ流さないが、血みどろで格闘しているとしか思われない。
ことに、この犬がただ犬でない非凡の犬であることの証拠としては、その大きさが、たしかに人間の二倍はあること。米友は人並よりずんと小粒ではあるけれども、それでも成長した人間であって、身長こそ四尺であるが、体重は十貫を下るということはないのに、犬はその面積に於て、米友を抱きすくめて存在を失わせるほどの体格があって、しかも全身が、猛獣のような虎斑で彩られている。