Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
「さあ、今晩はみんなして思い入れ怖い話をしてごらん、そうして、一つ怖い話をしたら籤引で一人ずつ、この花籠を持って御簾の間まで行って、これを床の間に置いておいで――」
「まあ、怖い」
「いちばん怖い話をした人と、それからいちばん上手に花籠を置いて来た人に、村正のおじさんが、すてきな御褒美を上げる」
「わたし、怖い話を知らない」
「わたし、怖いところへ行けない」
「怖い話って、お化けのことでしょう」
彼等は、村正のおじさんの懸賞には相当気乗りがしているけれども、怖い! お化け! となると尻ごみをしないのはありません。
「意気地がないね、そんな意気地のない話で、よく壬生浪人の傍へ寄れたもんだ」
「でもねえ――人間と化け物とは違うわよ」
「そうよ、人間と化け物とは違うわよ」
「でも、化け物に取って食われたという人はあるまいが、壬生の浪人に斬られたという人は山ほどある、その壬生の浪人を相手にして少しもこわがらないお前たちが、ありもしない化け物を怖がるとは理に合わない」
村正のおじさんからからかわれて、はじめて一人の雛妓が、
「ああ、わたし、怖い話を知ってるわよ」
眼のすずしい、丸ぼちゃの可愛らしいのが、声をはずませて合掌の形をして見せました。