Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

美僧美女は、ここの一室に一夜を明かし、その時に僧は、肌身放さぬ大金の財布を柱の上の釘にかけて、そうして一夜を女と明かしたものです。

さて、その朝まだき、人目を厭うて、木萱に心を置いて、この庫裡を忍んで立ち出でたが、木津の新在家へ来て、はじめて気がついたことは、昨晩、月心院の庫裡で、後生大事の財布を柱にかけてかけっぱなし、忘れてはならないはずのものを忘れて出て来た、はっ! と顔の色の変った時はもう遅い、それを取戻すべく立戻れば身が危ない、このまま行けば身が立たない。

二人は、その運命の怖ろしさと、師にそむき、戒にそむいた現罰が、あまりにも早く身に報い来ったことに戦いて、とうとう、そこで、相抱いて木津の川へ身を投げて死んだ。

それからというもの、月心院のあの庫裡では、夜な夜な若い男女の、世にも悲しい泣く音が洩れると、白い細い手が柱から壁、壁から長押と撫で廻しては、最後にまた絶え入るばかり、よよと泣き沈む……

そういう伝説が、パッと縁無き世間にまで広まりわたっている。

右の一条の物語を尼さんから聞かされて、はじめて竜之助も、さる因縁もありつるものかな、と思いました。