Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
「まあ、何とも申上げようもないそそうを致しました」
「いいえ、なんでもないです」
「玉を探しに参りましたばっかりに」
それでも、もう一つ異なことは、こんな場合にも手に持っていた手燭の火が消えなかったことで、これは一種の奇蹟でありました。この残照を娘は無意識的に拾い取ると、すぐ眼の前の大きな行燈が眼にうつりますと、その行燈へ、手燭の火をうつしてしまいました。孫火をうつしたような親火が大きくなると、娘は、その光で、自分が失礼をした当の人を見届けようとする先に、またこの人に失礼の重々のお詫びをしなければならない先に、室の四隅をおろおろとして見やったのは、人よりは猫が可愛かったからです。そうすると早くも認めた丑寅の方一隅に向って、
「あれ、あそこに玉が――」
かけつけて、手燭をつきつけた、そのホンの瞬間から、娘が声を放って泣きました。
「あれ、玉が殺されている、玉が死んでいる、あれあれ玉が――」
ここに竜之助なる人間の存在などは、全く眼中にも脳中にも置かず、ひとり舞台の狂乱でした。
四十五
娘は、そこで絶え入ってから、三日の間は、猫の死骸を抱いたまま枕が上らなかったそうです。