Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
かりそめにも女の身一つを、山の中へ投げ出して、お前はお前、わしはわし、どうにでもなれと不人情のできない羽目に置かれたから、それで、心ならずも――ここまで同行をして来たのです、ここへ来て、君の一身が、もう全く心配がない、安定の見込みがついたとなれば、拙者の使命は完全に果されたのだ、この上、君の御好意に随うのは、もう人情の上を越えた溺没――少し言葉がむずかしいが、今まではおたがいに親切、これからはおたがいに溺れるということになり兼ねない。且つまた、これでも一匹一人の男が、君を稼がせて、その仕送りの下に、たとえ一日でも半日でも、いい気で暮していられるか、いられぬか、その辺のことは、君が拙者の身になり代って考えてみてもらわにゃならぬ。人間、別れる時に別れないのは未練というもので、あとが悪いにきまっている、人情は人情として、今日から、きれいに君とお別れする、このことは、もはや、何とも言ってくれるな、拙者の心底はきまったのだから、誰が何と言おうとも動かすことはできない、拙者は今日から出立します。出立については――」
別れと覚悟の断案を下して置いて、何か条件的に申し置こうとする兵馬を、福松はあわてておさえてしまい、